国際プラトン学会に参加

2022年7月18日~22日に開催された「国際プラトン学会」(International Plato Society)の第13回大会に参加してきました。この学会は3年に1度大会を世界各地で開催していますが、今年の大会はアメリカジョージア州アセンズのジョージア大学でした。トピックはプラトンの『ソフィスト』です。

私は’What is the process of division for?’というタイトルで発表を行いました。現在プラトンの「総合と分割法」について研究を進めており、その定義探求の方法がギリシア数学で用いられた幾何学的分析法の「発見」と「説明」の一対の過程に対応するものである、というアイデアを検討しています。今回は『ソフィスト』について、「分割」過程が従来考えられてきた「ソフィスト」の定義の「発見」に関わるものではなく、エレアからの客人がすでに把握している定義を対話相手のテアイテトスに「説明」する過程である、ことを論じました。あまり音はよくないですが、会場で発表が録画されていたので、YouTubeにて公開しました。

2020年3月に日本に帰国して以来、ちょうど同時期に発生した新型コロナのために、実に久しぶりの国際学会となりました。その間ほとんどまともに英語を話していなかったので、さすがにかなり鈍ってしまったという感じです。発表自体は原稿読み上げただけなのでそれほど問題なかった(と思う)のですが、質疑応答ではもう少し上手に答えられたらと後悔が残りました(質問者の許可をとっていないのでこの部分はビデオで公開していません)。まぁでもこれは英語の問題というより、質問に対する答えがそもそも自分の中でまとまっていなかったという点が大きいですね。単なる準備不足でした、はい。

ところで、久しぶりに国際学会に参加して思ったことは、やはり実際に人に会って話をするということは非常に重要だということです。もちろん発表を聞いたり質問したりする中で学ぶことも多いのですが、休憩中や懇親会で交流する中で自分の存在をアピールできますし、思わぬところで興味関心が重なり今後へとつながったりします。仲の良い研究仲間とキャッチアップしたり、今まで文献上でしか知らなかった有名人と実際に会えたり、それだけで刺激を受けモチベーションがあがったりもします。学会の遠隔参加によるメリットも大変大きいのですが、これらの点はやはり代替不能なように感じました。

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