研究室メンバー募集
名古屋大学における西洋古代哲学研究を一緒に盛り上げていってくれるメンバー(学生・ポスドク)を募集しています。(哲学研究室全体では、もちろん、西洋古代哲学以外を専攻するメンバーも募集しています。)少しでも興味のある方はいつでも私まで連絡して下さい。連絡のとれるメールアドレスは私のresearchmapのページに公開しています。
こちらの様子を知りたい方は、まず一度演習に参加してみてください。Microsoft Teamsによる遠隔参加も可能です。今年度は以下の作品を読んでいます(リンク先よりシラバスが見れます)。春・秋学期ともに金曜3・4限(13:00~16:15)の隔週です(具体的な日程は初回授業にてお知らせします)。
2024年度春学期:プラトン『テアイテトス』第一部前半
2024年度秋学期:プラトン『テアイテトス』第一部後半
以下では、1.学部生、2.大学院生、3.ポスドク、それぞれの場合における本研究室への加入方法および西洋古代哲学を専攻する上での教育・活動方針について説明します。名古屋大学の哲学研究室は、西洋古代以外の哲学を専攻する人も多くおり、哲学全体としての教育・活動方針も当然ありますが、ここでは割愛します。
1.学部生
学部生から哲学研究室に所属するためには名古屋大学の学生である必要があります。ただし、他大学の方も3年次より名古屋大学へ編入することが可能です。在籍する大学でギリシア語や西洋古代哲学を学ぶことが困難な場合は、まずこちらの選択肢を考えてみるのがよいでしょう。編入学入試についてはこちらを参照して下さい。現状では、入試科目は外国語(主に英語)と小論文のみです(口述試験もありますが)。
西洋古代哲学の研究を本格的に開始するためには、何よりもまず古典ギリシア語を習得することが必要です。私自身は名古屋大学にて初級文法の授業を担当していませんが、西洋古典学研究室の先生方による授業を履修することで学ぶことができます。
私の演習では、初級文法の知識を基に、古代哲学文献の読み方(専門用語や特徴的な文体、辞書や注釈類の使い方、異読の検討、参考文献の探し方など)を基本からしっかりと学びます。ただし、読解する上での文法事項も丁寧に解説しますから、初学者の人もあまり心配する必要はありません。
卒業論文の作成は個々人の興味関心に従って、自由にテーマを設定できます。とはいえ、最初は自分で研究テーマを設定することはなかなか困難ですので、演習やその他の授業で哲学的に重要な問題を数多く紹介しますし、個人的な相談もいつでも受け付けます。また、哲学研究室では、古代以外のメンバーも参加する全体セミナーがあり、そこでの発表から研究の方向性を広げることもできます。
2.大学院生(博士前期・後期課程)
大学院生として哲学研究室に所属するためには、大学院入試に合格する必要があります。大学院入試の詳細はこちらを確認してください。ある程度西洋古代哲学を学んでいて他大学から本研究室に来ることを希望する場合は、こちらの方法を目指して下さい。
ただし、西洋古代哲学専攻希望で古典ギリシア語をまだ学んでいない人は、2年間で博士前期課程を修了することが困難ですので、聴講生もしくは科目等履修生になるなどして、少なくとも1年間は古典ギリシア語を集中して学んだ上で院試に挑戦するのがよいでしょう。聴講生・科目等履修生の出願方法についてはこちらを確認して下さい。いずれにせよ、外部からの入学希望者は私まで連絡して下さい。
大学院生についても、学部生と同様、自由にテーマを選択した上で修士・博士論文を完成することが最終目標です。博士前期課程については、演習を中心とする授業にも出席することで修士論文以外のトピックも学び、研究の幅を広げることも重要です。演習はプラトン・アリストテレスが中心になりますが、それ以外のテキストも幅広く取り上げます。
修士・博士論文を作成するにあたっては、論考の質と量を徐々に上げていけるよう、定期的な個人面談を行います。毎回の面談のためにまとまった原稿の提出が必要ですので、要求される負荷は多少大きくなりますが、その分研究者としての成長を直に感じてもらえる時間になることと思います。博士後期課程の学生にとっては、この個人面談以外に出席する義務のある授業などは何もなく、自由に研究に打ち込めます。
博士前期課程の学生にとっては、残念ながら、経済的支援の選択肢はあまり多くありません。しかし、日本学生支援機構による第一種奨学金の貸与を受けた方には、「特に優れた業績による返還免除」という制度があり、修了後に貸与額の半額もしくは全額免除となる可能性があります。詳しくはこちらを参照して下さい。近年では、全貸与者のほぼ3割、大学から推薦を受けることができた貸与者にいたってはほぼ全員が少なくとも半額免除を受けられているようです。選ばれる可能性は決して少なくありませんから、チャレンジしてみる価値は十分あるでしょう。また、授業料免除やその他民間の奨学金についてはこちらを参照して下さい。
博士後期課程に進学することを希望される学生は、日本学術振興会の特別研究員(DC)として採用されることが、在学中の経済的負担軽減だけでなく今後のキャリア形成の面でも非常に重要です。申請するにあたって、研究テーマの設定の仕方や、実際の申請書の書き方なども懇切丁寧に指導しますので、遅くとも修士1年目終わりの春休みには相談を始めることができるよう、私まで連絡して下さい。学外から博士後期課程に進学を希望される方も大歓迎ですから、なるべく早く連絡をいただければ対応できます。
なお、名古屋大学では、博士後期課程に進学する人向けに独自の奨学金制度も整備しています。もちろん、上記の特別研究員に採用されるに越したことはないのですが、たとえ不採用になったとしても、少なくない確率で何らかの経済的支援を受けることが可能です。応募は博士前期課程の1年目から始まるので、こちらも早めにご相談下さい(博士前期の段階では外部の学生の方も応募可能です)。詳しい情報はこちらを参照してください。なお、この奨学金には分野の指定があり、一見、西洋古代哲学の研究では応募不可能のように見えますが、例えば、「東海国立大学機構融合フロンティア次世代研究事業」の「革新的学際分野」などは十分応募可能な内容です。
最後に、将来研究者を目指す方にとっては、海外の大学への留学も重要な経験となります(もちろん必須ではありませんが)。長期・短期を問わず、海外留学をするにあたって、海外の研究者の紹介や推薦状の準備などできる限りの範囲で協力を行います。また、英語による論文執筆や研究発表の方法も指導できますから、希望者は気軽に相談して下さい。
3.ポスドク
外部からポスドクとして本研究室に所属するためには、基本的に、日本学術振興会の特別研究員(PD)に採用される必要があります。私を受入研究者として申請する場合は、もちろん研究テーマについて互いの親近性があることが望ましいのですが、話をしてみてなんらかのつながりが見つかることも往々にしてありますので、西洋古代哲学に少しでも関わりのある研究であれば一度気軽に連絡してみて下さい。申請書作成にあたって、可能な限りの協力も行います。
ポスドクの方とは、大学院生のように指導したりされたりする関係にあるわけではありませんが、定期的な研究に関するディスカッションを通じて、互いの知見を共有し合うような協力関係を築いていければと思っています。トピックや議論の進展によっては、将来的な共同研究へ発展させることが可能かもしれません。
また、非常勤講師などの教育機会の斡旋や海外での研究滞在に関するアドバイスなど、今後のキャリアを築いていく上での協力も行うつもりです。
さらに、最近「古代哲学研究ネットワーク」という組織を立ち上げ、若手を中心とする国内の古代哲学研究者が互いに交流する機会を増やす試みを行っています。具体的には、年1度のメンバーによるワークショップや、それぞれの科研をテーマにした勉強分科会など、今後共同でより大きな研究課題に取り組んで行く下地を作ることを目的とした様々な活動をしています。人的ネットワークを構築していく上でもよいきっかけとなるでしょう。